介護施設の虐待・暴言・暴力・ハラスメントを防ぐ方法とは?

暴言・暴力・虐待

2026.01.29

介護施設では「虐待・暴言・暴力・ハラスメント」といった問題が起こることがあります。この問題は、「介護スタッフから入居者に対する虐待」もあれば、反対に「入居者からスタッフに対する暴言・暴力・ハラスメント」という大きく2つのケースが起こりえます。

とくに入居者の虐待に関する報告件数は増加傾向にあり、厚生労働省においても現場の調査や防止策の強化が進められています。

この記事では「スタッフから入居者」「入居者からスタッフ」の双方のケースについて、どのようにすれば防止できるかについて解説します。

 

関連記事>>>介護現場で起こり得る身体拘束はどのような影響がある?防止方法も解説します

 

目次


介護施設の入居者に対する虐待とは?
▶高齢者虐待の相談と通報件数の現状
▶入居者へ虐待が起こる原因
スタッフの精神的ストレス
人手不足による労働環境の悪化
介護の知識不足
施設内の隠ぺい体質
▶虐待を防ぐ方法
スタッフのストレス軽減・職場環境改善
虐待に関する指導・研修の実施
高齢者虐待防止マニュアルの作成
介護施設スタッフに対する暴言・暴力・ハラスメントとは?
▶スタッフに対する暴言・暴力・ハラスメントが起こる原因
入居者の認知症症状のため
入居者自身の体調不良によるストレス
不安や環境ストレスによるもの
ハラスメントを自覚していない
▶暴言・暴力・ハラスメントを防ぐ方法
入居者の環境や状況を把握する
スタッフ1人で抱え込まない環境作り
マニュアルを整備し対応方法を決めておく
悪化する場合は医師に症状について相談する
介護施設の虐待・暴言・暴力・ハラスメントを防ぐには「映像付きナースコール」がおすすめ
まとめ

 

■介護施設の入居者に対する虐待とは?

介護施設のスタッフによる入居者への虐待とは、入居者の権利・利益を侵害し、生命や健康、生活を損なう行為を指します。殴る蹴るなどの暴力的な行為だけではなく、暴言や無視、介護サービスを実施しないなどの行為などが含まれます。なかには、性的な嫌がらせや資産を使い込むといったケースも挙げられます。

 

【虐待に該当する主な行為】

  • 身体的虐待

殴る、蹴る、叩く、つねる、やけどを負わせるなど

  • 心理的虐待

脅し、侮辱、無視、嫌がらせなど

  • 性的虐待

わいせつ行為、性的な嫌がらせなど

  • 経済的虐待

本人の同意なしに、財産や金銭を使用するなど

  • 介護・世話の放棄・放任(ネグレクト)

食事や排泄、入浴、洗濯などの世話や介助をしないなど

 

 

▶高齢者虐待の相談と通報件数の現状

厚生労働省では、平成18年4月施行の「高齢者虐待の防止、高齢の養護者に対する支援等に関する法律(通称:高齢者虐待防止法)」に基づいて、全国で発生した高齢者への虐待に関する調査を行っています。その調査結果によると、高齢者虐待に関する「相談・通報の件数」「虐待判断件数」は、年々増加しています。

 

【介護施設(介護老人福祉施設、居宅サービス事業などに従事する者)による高齢者虐待に関するデータ】

H18年度(件) R4年度(件)
相談・通報件数 273 2,795(前年度比16.9%増)
虐待判断件数 54 856(前年度15.8%増)

介護施設において虐待だと判断されたケースは、令和4年度では856件に及びます。前年度と比較すると、117件(15.8%)増加しています。

参考:厚生労働省「令和4年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果」

 

▶入居者へ虐待が起こる原因

介護スタッフから入居者への虐待を起こしてしまうのは、「モラルの問題」だと考える介護施設もあるでしょう。

しかし虐待が起こる原因はスタッフのモラルだけが問題ではなく、職場環境や教育・指導の不足など、施設側の問題が影響していることもあります。
ここでは虐待が起こる原因について、詳しくみていきます。

 

 

スタッフの精神的ストレス

介護施設での業務は、入居者の身体を預かり安全で健康な暮らしを提供するという重い責任があります。また入浴や排泄の介助などは重労働であるため、心身ともに負担の大きい業務です。

 

そんななか、入居者と「思うようにコミュニケーションが取れない」と悩むスタッフは少なくありません。とくに認知症の入居者と接していると「心ない言葉を浴びせられた」「物を盗んだと疑われた」「暴力を振るわれた」というケースも起こります。

このようにスタッフにとって精神的ストレスを抱えやすい状況であるものの、介護現場では「仕方ない・当たり前」ととらわれてしまう傾向にあります。相談しても改善しようとしない、あるいは相談できる環境にないために、さらにストレスを助長させるという悪循環を招いていることがあります。吐き出せないストレスによって心のコントロールが効かなくなり、ついつい暴言を吐いてしまったり無視してしまったり、さらには手をあげるということにつながる恐れがあるのです。

 

人手不足による労働環境の悪化

介護業界は、働く人口の低下によって慢性的に人員不足の課題を抱えています。さらに高齢化社会に伴って、介護ニーズも高まっている状況です。そのため基準を満たす程度の人員しか配置できない介護施設も多く、スタッフ一人ひとりの業務量は増えるばかりです。

少人数や一人体制で、複数の入居者の対応に当たらなければならず、余裕を持った介護サービスを提供できないケースが増えています。

このような問題を抱えていると、転倒や徘徊リスクのある入居者を常に見守れない状況となってしまいます。スタッフは入居者の安全のために、車いすや椅子に固定して立ち上がらないようにしたり外出できないようにしたりして、気付かないうちに身体的拘束という虐待行為を犯してしまう可能性もあるのです。

 

介護の知識不足

介護現場には、経験が浅いがゆえに介護に関する知識が不足しているスタッフもいます。

高齢者の身体の状態についてよく理解できていなければ、コミュニケーションにすれ違いが生じて、思い込みや誤った考えに発展する可能性が高まります。
たとえば「認知症の入居者には、なにを言ってもわからないだろう」「いつも嫌な態度をとられるから、無視しよう」など、虐待につながるような行為をしてしまうことがあるのです。また知識不足によって、これらの行為が虐待にあたると認識できていないスタッフもいるかもしれません。

知識不足からくる虐待に関しては、スタッフ自身の問題ではなく、介護施設側が研修や教育をしっかりと行えていないことが大きな原因です。施設側が教育を怠ることで、スタッフは知識不足のまま入居者の対応をしなければならないため、虐待の可能性を高めてしまうのです。

 

施設内の隠ぺい体質

もしも虐待行為があった場合、施設内で共有や家族への報告、市町村に通報、再発防止策の作成などが必要です。しかし虐待行為を口外せずに、なかったことにする隠ぺい体質の施設もあります。スタッフが施設側に虐待の事実を報告しても、口止めされることや、場合によっては評価を下げられるというケースもあります。その結果、虐待を目撃しても見ていないふりをするか、離職を選択するほかないという事態を招いてしまうのです。

一方、虐待をしたスタッフにとっては、改善の指導を受けなかったり処分されなかったりすることで、虐待を繰り返す、または助長させる可能性は高まるでしょう。施設内の隠ぺい体質も、虐待につながる大きな原因です。

 

 

▶虐待を防ぐ方法

介護施設での虐待を防止する方法を紹介します。

スタッフのストレス軽減・職場環境改善

スタッフがストレスを抱えないようにすることが、虐待リスクの低減につながります。上記でも紹介したとおり、精神的なストレスや悩みを誰にも相談できずに、心のコントロールが効かなくなることが虐待につながりやすい原因です。そのためスタッフ一人ひとりが悩みや問題を相談できる環境を整えることが大切です。また入居者やその家族からの暴言やハラスメントを受けている事実があれば、施設側はスタッフを守る行動もとっていかなければなりません。

さらに人手不足といった職場環境も問題の一つです。たとえば、「経験の浅いスタッフに一人勤務を任せない」「しっかりと休憩をとる」「スタッフが手薄になる時間帯を作らない」といった労働改善を行い、できる限りスタッフの負担を軽減するように配慮しましょう。

 

虐待に関する指導・研修の実施

虐待の形はさまざまあり、虐待に該当する言動を、気付かないうちにやってしまっているというスタッフも存在します。また介護経験が浅い、知識が不足しているなどが原因で、高齢者の心身の状態を理解できずに、高齢者の言動を勘違いして受け止めてしまうこともあります。嫌われている、嫌がらせをされたと感じて、入居者に苛立ちや怒りなどの感情を出してしまうのです。

 

そのため、入居者がなぜそのような言動をするのか、普段の行動にどのような問題があるかなどについて、学んでいくことが大切です。高齢者の心身の状態について理解を深めることで、スタッフの苛立ちや怒りといった感情を抑えられ、虐待行為に及ぶリスクを防止できます。

またどのような行為が虐待に該当するのか、どのような責任を負うことになるのかといった法的な知識の学習も必要です。法律の観点からも知識を向上できるように、専門の講師を呼んだり外部研修に参加したりすることが有効です。

 

高齢者虐待防止マニュアルの作成

虐待につながりそうな場面などでの対処法をまとめ、常に確認できるようにしておくことが大切です。また虐待があった場合でも早期に発見できるように、「入居者にあざや傷がないか」「寝具や衣類が汚れたまま放置されていないか」といったチェックリストの作成も有効です。

市町村のホームページでも高齢者虐待防止に関する解説やマニュアルの雛形が公開されているため、施設内で共有するとよいでしょう。

 

■介護施設スタッフに対する暴言・暴力・ハラスメントとは?

ここまでは、介護スタッフによる入居者への虐待について解説しましたが、反対に介護スタッフ自身が入居者から暴言や暴力、ハラスメントを受けるケースもあります。実際にどのような事例があるのでしょうか。

【入居者の暴言・暴力・ハラスメントに該当する行為】

  • 暴言

スタッフへ批判的な言葉を発する

  • 暴力

叩く、手で払いのける、髪の毛を引っ張る、物を投げつけるなどの身体的暴力や、威圧的な態度や理不尽なサービスの要求といった精神的暴力など

  • ハラスメント(セクシャルハラスメント)

性的な発言、不適切な接触など

 

それでは暴言・暴力・ハラスメントが起こる原因や、それらを防ぐ方法についてみていきましょう

 

▶スタッフに対する暴言・暴力・ハラスメントが起こる原因

入居者だからといって、スタッフを傷つける行為は許されるものではありません。まずはなぜ暴言・暴力・ハラスメントが起こるのか、その原因を把握する必要があります。

入居者の認知症症状のため

認知症は、脳の神経細胞の働きが悪くなることで、記憶や判断力などの認知機能が低下し、日常生活に支障をきたします。そのため、感情のコントロールができず、周囲の人の言動に過敏になってしまい、暴言や暴力行為をしてしまうということがあります。
この場合は、看護師がしっかりと体調を観察したり投薬や治療を受けたりと、適切な医療ケアも必要になってきます。

 

入居者自身の体調不良によるストレス

入居者自身に、体調不良や身体の痛みがあり、それをうまく伝えられないことでイライラがつのったりストレスを抱えたりすることで、暴言や暴力に発展するケースもあります。

息苦しい、身体が痛いなどの状況にもかかわらず、適切な処置が受けられないと誰でもつらくなってしまうものです。もしも暴力や暴言などがみられたら、身体の不調がないか、十分なケアができているかを再確認することが大切です。

不安や環境ストレスによるもの

高齢になることで、これまでできていたことが一人でできなくなる、社会とのつながりがなくなり孤独を感じるといったことが原因で、ネガティブな感情を抱いてしまう方も少なくありません。不安な気持ちや、イライラ、ストレスがつのり、感情のコントロールが困難になることも大きな原因です。

 

ハラスメントを自覚していない

介護スタッフが「虐待行為にあたると自覚できておらず、気付かないうちにやってしまっている」ケースと同様に、入居者自身が「ハラスメントと認識できていない」ケースもあります。

現在の高齢者世代が社会に出ていた頃は、セクシャルハラスメントという言葉もなく、日常的なコミュニケーションとして冗談や軽口が許容されていました。どのような言動がハラスメントにあたるか理解できていない、あるいは理解していても習慣づいてしまって簡単に直せないといったことも原因の一つです。

 

▶暴言・暴力・ハラスメントを防ぐ方法

入居者による暴言・暴力・ハラスメントを防止する方法を紹介します。

 

①入居者の環境や状況を把握する

暴言・暴力などは、入居者に体調不良がありストレスになっていることが原因で起こることがあります。そのため、もしも暴言・暴力があった場合は、まずは入居者をよく観察して、発熱や傷むところがないか確認します。

また暴言・暴力があったときの環境を分析して、なぜ起こったのか理由を探ることも大切です。いつどのような状況で誰に対して、どのような言動があるのかを冷静に分析することで、入居者が抱えている不安や問題に気付き、心情に寄り添うことや適切なケアにつなげられます。

 

②スタッフ1人で抱え込まない環境作り

入居者から暴言・暴力・ハラスメントを受けた場合、スタッフが一人で抱え込まないですむように、上司や先輩に相談できる環境をつくることが対策につながります。

「介護現場では仕方のないこと」「我慢しないといけない」という考えを払拭し、スタッフ全員で事例を共有する意識を持つことが大切です。一人だけだと解決できなかったことも、全員で共有することで、対策方法を見つけやすくなります。また今後同じような事例が発生した場合でも、スムーズな対応ができるようになるでしょう。

 

③マニュアルを整備し対応方法を決めておく

入居者の暴言・暴力・ハラスメントに関して、対応マニュアルを作成することも効果的です。どのような問題に対して、どのように対応するのかを決めて、スタッフ同士で共有しておきます。
また対策を行っても改善がみられない場合、入居者に対し、介護施設利用の契約を解除する必要性もあります。介護施設では入居者だけでなくスタッフの安全を守り、安心して働ける環境づくりへの配慮が求められます。

 

④悪化する場合は医師に症状について相談する

認知症が原因で暴力や暴言などが起こっていて悪化している場合は、医師に相談してみましょう。認知症は脳の細胞が壊れていく病気であるため、医学的知識がなければ対応が難しいこともあります。医師に症状について相談することで適切なアドバイスをもらえるため、状況の改善が期待できるでしょう。

 

■介護施設の虐待・暴言・暴力・ハラスメントを防ぐには「映像付きナースコール」がおすすめ

  • 「介護スタッフから入居者に対する虐待」
  • 「入居者からスタッフに対する暴言・暴力・ハラスメント」

上記2つのパターンについて、それぞれ発生する原因や防ぐ方法について紹介しました。そのうえでもう一つ紹介したいのが、どちらのパターンの防止策につながる「映像付きナースコール」の導入についてです。

ナースコールは、介護施設での設置が義務づけられているものです。近年ではナースコールは単にスタッフを呼び出すだけでなく、呼び出しがあったときにスマートフォンから居室の映像を確認できるカメラ機能がついているものもあります。

また録画機能つきのナースコールもあるため、万が一虐待が疑われることや暴言や暴力を受けたといった場合に、録画映像を振り返って事実確認や検証を行うことが可能です。正確な事実を確認できるため、適切な再発防止策にもつながります。

 

【映像付きナースコールは「ココヘルパ」がおすすめ】

ジーコムの介護施設専用ナースコールシステム「ココヘルパ」であれば、常時録画録音できる機能がついています。各居室の録画・録音の全データを約5日分保存できるため、トラブルがあった場合に後から振り返って確認できます。

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一般的なカメラの場合音声が録音できるタイプは少ないですが、ココヘルパであれば、ノイズキャンセラ機能を採用した録音機能があることもおすすめの理由です。暴言やハラスメントにあたる発言など、問題となる会話も記録できるため、より正確な事実確認が行えるようになります。

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ココヘルパは、介護現場における「虐待・暴言・暴力・ハラスメント」といったトラブルの抑止にもつながります。また万が一トラブルがあっても、精度の高い事実確認が行えるため適切に再発防止策を立てて、介護サービスの向上を目指せるでしょう。

 

 

■まとめ

介護現場では「介護スタッフから入居者に対する虐待」や、反対に「入居者からスタッフに対する暴言・暴力・ハラスメント」といったトラブルが起こる可能性があります。施設側は、トラブルが起こる原因を理解し、対策につとめなければなりません。

そして万が一トラブルがあったときには、関係者から聞き取りして事実確認を行う必要がありますが、カメラの映像や音声が客観的な証拠として非常に役立ちます。
ナースコールシステム「ココヘルパ」であれば、トラブルの抑止やインシデント確認に有効な録画録音機能を搭載したモデルがあります。これまでインシデント確認に困っていた場合や、スタッフや入居者の安全を向上させたい場合は、ぜひココヘルパの導入をご検討ください。

 

執筆 ジーコム株式会社 プロモーション部

 

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