介護現場におけるICTとは?必要とされる背景、得られる効果や懸念点も

コラム

2024.10.01

現在、介護現場でICT化を推進する傾向が高まりつつあります。
介護現場でのICT化を進めるにあたりどのような懸念点が考えられるのでしょうか。

 

目次


介護現場で ICT 化を進める際の懸念点
導入費用が発生する
導入時のスタッフ教育が必要となる
セキュリティリスクが高まるケースもある
介護現場の ICT 化で導入するべきツール・システム
Wifiを活用する無線ナースコール
見守りシステム
介護ソフト
勤怠管理システム
行動記録システム
介護現場の ICT 化に使える補助金
まとめ | 介護の ICT 化は、介護施設専用ナースコールシステム「ココヘルパ」をチェック

 

■介護現場で ICT 化を進める際の懸念点

 導入費用が発生する

ここまでI C T化の必要性とメリットをお伝えしてきましたが、一方で必要性は理解しているけど、なかなか導入が進まないという声を多く耳にします。
その理由の一つに導入コストの壁があります。多くの場合、初期費用と運用費用が発生します。さらに、介護施設全体でICTシステムを導入する場合、多数のタブレット端末やセンサー、サーバーなどが必要となるため、初期投資の額が大きくなる傾向があるのです。また、運用費用としては、システムのメンテナンス費用、通信費用などが継続的に発生します。こうした費用負担は、介護施設の経営を圧迫する要因となる可能性があります。特に、小規模な介護施設では、ICT化のための予算確保が難しいケースもあります。
ただし、国や自治体による補助金制度を活用することで、初期費用の一部を賄うことができる場合があります。また、ICT化による業務効率化によって、中長期的には人件費の削減効果が期待できます。ぜひ、中長期的な視点をもってどのくらいの費用対効果を見込めるのか慎重に見極めながら、ICT化を進めていただきたいと思います。

導入時のスタッフ教育が必要となる

システム導入時の別の大きな課題として「変える負担」「覚える負担」があります。多くのスタッフは、ICT機器の操作に不慣れであり、新しいシステムの使い方を一から学ぶ必要があります。また、現状のやり方を変えることや属人化から脱却することに抵抗感があるスタッフも想定されます。
そのため、ICT機器の導入前には、十分な時間をかけてスタッフへ教育・説明を行う必要があります。ここでいう教育・説明とは、単純なシステムの操作説明ということだけではありません。ICT機器は、全国どの施設でも使えるように開発されています。そのため、施設ごとの違いに対応することには限界があります。つまり、施設側がやり方を変える前提でつくられているのです。それをスタッフに理解してもらうためには、導入するメリット(目的を含む)を明確にしておくことが不可欠です。
次に、その「メリット」のために機器を「どう使うべきか」を検討します。スタッフに負担がかかりすぎてもいけませんから「場面」「時間」「担当者」「使う機能(使わない機能)」「目標(作業時間をどれくらい減らしたいか等)」を具体化していくのです。導入をスムーズに行うためにも、ここでは十分な議論が必要となります。
また、ICT機器については、飲み込みが早い人とそうでない人がいます。よくシステム導入のサポートさせていただく際に、現場スタッフみんなに分け隔てなく業務を割り振る施設長やリーダーがいますが、それではうまくいかないことが多いです。なぜなら、スタッフには“適性”があるからです。

ここでお勧めしたいのが、スタッフを一軍から三軍に分ける方法です。一軍は、最初に習得し、施設内で指導役となる人。二軍は、一軍から指導を受けて、一軍昇格を目指す人。または、パソコンのスキルが低く、指導に時間がかかる人。三軍は、年齢、スキルの面で指導が難しい人。または、無理にシステムを活用してもらわずに、別の業務に専念してもらう人です。ただ、三軍を多くしてしまうとデジタルの方法と、三軍に合わせたアナログな方法が同居して、かえって業務が非効率になるリスクがあります。できるだけ三軍をつくらないように工夫する必要があります。システム導入に限らず何か変化をするときには一時的な負担増は避けられません。このことを理解しつつ、できるだけ現場負担を増加させない取り組みが重要です。

セキュリティリスクが高まるケースもある

一方で、ICTシステムを導入する際の懸念点として、個人情報の保護とセキュリティ対策があります。ICT化により、入居者の健康状態や生活状況、家族情報など、機微な個人情報がデジタルデータとして管理されるようになります。こうしたデータを不正アクセスや流出から守るために、強固なセキュリティ体制の構築が不可欠です。特に、スマートフォンやタブレット端末を業務で使用する場合、紛失や盗難のリスクが高まるため、リモートでのデータ削除機能の導入などが求められます。また、クラウドサービスを利用する場合は、サービス提供者のセキュリティ対策を十分に確認する必要があります。こうしたセキュリティリスクへの対応を怠ると、個人情報の漏洩につながり、介護施設の信頼を大きく損なう可能性があります。ICT化の便益を享受しつつ、セキュリティの確保にも細心の注意を払っていくことが求められます。

 

■介護現場の ICT 化で導入するべきツール・システム

ここまで、介護現場でICT化を進める際のメリットや懸念点をお伝えしてきました。実際に導入するにあっては、業務内容や施設の規模に合わせて、適切なツールやシステムを選択することが重要です。多くの現場で活用できるツールをいくつかご紹介したいと思います。

Wifiを活用する無線ナースコール

まずひとつ目が、無線ナースコールです。Wifiを利用する無線ナースコールは、見守りシステムなど施設のICT化を進める際にナースコールで使用するWifiを共通インフラとして整備することで投資費用を抑えることができます。
また受信機としてスマートフォンを使用し、居室の様子を映像で確認できる機能が搭載されていれば駆け付ける前の状況判断に役立ちます。他社アプリと連携ができれば情報をスマートフォン1台に集約ができるため、複数端末を持ち歩く必要もなくなるなど、PHSよりも利便性が高まり業務効率がアップします。
また従来のナースコールでは、呼出ボタンが固定されていたため、入居者が離れた場所にいる際に使用できないという問題がありました。しかし、無線ナースコールは、ベッドレイアウトが自由自在。居室内であれば呼出ボタンを移動してスタッフへ連絡することもできるため、場所に縛られることなく入居者の生活スタイルに合わせた設置が可能となります。また各居室への配線引き込み工事が必要な有線式と比べ、無線式は居室内のナースコールを無線化できるため短工期・低コストでの導入が可能となります。

見守りシステム

次に、見守りシステムです。このシステムでは、入居者の行動パターンや健康状態を把握するためにさまざまなセンサーを活用します。例えば、ベッドに設置した圧力センサーによって、入居者の離床や着床を検知することができます。センサーから得られたデータは、クラウド上で分析され、異常があればスタッフにアラートが送信される仕組みになっています。これにより、スタッフは常に入居者の状況を把握しておくことができ、必要な際にすぐに対応できるようになります。また、見守りシステムには、カメラを活用したものもあります。シルエット状で見える機器もあり、プライバシーに配慮しつつ、入居者の様子を視覚的に確認できるため、より細やかな見守りが可能となります。

介護ソフト

3つ目は介護ソフトです。介護記録の作成や情報共有を効率化するためのシステムで、前述のような手書きの記録作成、重複記入から解放され、業務の大幅な時間短縮が可能となります。介護ソフトには、タブレット端末やスマートフォンから入力できるものが多く、また、音声入力機能を備えたソフトもあり、キーボードを使わずに記録を作成できるため、さらに業務効率化が図れます。

勤怠管理システム

4つ目は勤怠管理システムです。介護現場は人員配置基準など様々な要件を満たさなければなりません。さらに各スタッフの習熟度や勤務希望を加味していくとなると、シフト作成はかなり複雑な作業です。毎月のシフト作成に頭を抱えている方も多いと思います。
勤怠システムを導入することで、スタッフの勤務状況を正確に把握することができ、適切な人員配置やシフト管理が可能となります。また、多くのシステムには、スマートフォンやタブレット端末から打刻できる機能も備わっています。スタッフは、出退勤時にアプリを使って簡単に打刻できるため、打刻忘れや打刻ミスを防ぐことができます。さらに、勤怠管理システムには、スタッフのスキルや資格情報を管理する機能も搭載されているものがあります。これにより、スタッフの能力に合わせた適切な業務割り当てが可能となり、働きやすさ向上に繋がる強力なツールといえるでしょう。

行動記録システム

5つ目は、行動記録システムです。入居者の日常生活における行動パターンや習慣を記録し、分析するためのシステムです。このシステムでは、入居者の部屋や共有スペースに設置されたセンサーやカメラから得られるデータを活用し、入居者の行動を可視化します。例えば、入居者がトイレに行く頻度や、食事の時間、活動量などを自動的に記録することができます。
また、行動記録システムには、入居者の行動パターンから異常を検知する機能も備わっています。例えば、いつもと異なる時間帯にトイレに行く回数が増えた場合、尿路感染症の可能性があるとしてスタッフに通知することができます。このように、行動記録システムを活用することで、入居者の健康管理や病気の早期発見に役立てることができるのです。

 

■介護現場の ICT 化に使える補助金

いくつか有用なシステムをご紹介しましたが、懸念点でも述べたように、実際に介護現場のICT化を進める上で、費用負担が大きな障壁となることがあります。特に、中小規模の介護施設では、ICT機器の導入やシステム開発に必要な資金を確保することが難しいケースもあります。そこで、国や自治体では、介護施設のICT化を支援するための補助金制度を設けています。例えば、厚生労働省は「介護ロボット・ICT導入支援事業」を実施しており、介護施設がICT機器を導入する際の費用の一部を補助しています。この事業では、介護記録ソフトやセンサー、見守りシステムなど、幅広いICT機器が対象となっています。また、自治体によっては、独自の補助金制度を設けているところもあります。例えば、東京都では「東京都介護職員キャリアパス導入促進事業」を実施しており、介護施設がICT機器を導入する際の費用を補助しています。こうした補助金制度を活用することで、介護施設のICT化に係る初期費用の負担を軽減することができます。補助金の詳細については、各自治体の担当部署や介護関連団体に問い合わせることをおすすめします。

執筆 株式会社スターコンサルティンググループ D X業務改善コンサルタント
株式会社エルダーテイメント•ジャパン 執行役員 金田伸広氏

 

■まとめ | 介護の ICT 化は、介護施設専用ナースコールシステム「ココヘルパ」をチェック

介護現場のICT化は、業務の効率化や質の向上、スタッフの負担軽減など、さまざまなメリットをもたらします。一方で、導入費用や教育コスト、セキュリティリスクなどの課題もあることから、自施設の状況に合わせて、最適なツールやシステムを選択することが重要です。特に、介護施設専用のナースコールシステムは、入居者の安全確保と、スタッフの迅速な対応を可能にする上で欠かせません。その中でも、「ココヘルパ」は、ワイヤレス型のナースコールシステムとして注目を集めています。このシステムは、従来のナースコール機能に加え、訪室前の映像会話機能やヒヤリハット対策としての録画録音機能、さらにはミリ波レーダーなどの多彩なセンサーを活用し離床など入居者の状態変化を自動検知するものまで、リスクの低減とスタッフの業務負担を大幅に軽減するソリューションを提供しています。介護施設のICT化を検討する際には、「ココヘルパ」のような先進的なシステムを導入することで、より高い効果を得ることができるでしょう。

ICT 化は一朝一夕には進みませんが、段階的に導入を進め、スタッフと入居者の双方にとってメリットのある形で活用していくことが重要です。介護現場のICT化が、今後ますます重要性を増していくなかで、各施設の特性や課題に応じて、最適な介護業務効率化とサービスの質を向上させる選択肢を見つけ出し、着実に進めていくことが求められています。

▼介護施設のICT化を促進する無線ナースコール「ココヘルパシリーズ」
https://www.gcomm.co.jp/

 

 

ココヘルパ製品詳細へ