介護現場で起こり得る身体拘束はどのような影響がある?防止方法も解説します

コラム

2025.07.09

介護現場では、入居者の安全を守るために、事故などのリスクを防ぐ取り組みが求められます。
しかし、その対応が一歩間違うと「身体拘束」という重大な問題につながる可能性があります。

前回の記事では、なぜ身体拘束が起きてしまうのか、その背景や原因について解説しました。
今回は、身体拘束が及ぼす影響や、現場で実践できる防止策について解説します。
記事の最後では、プライバシーに配慮したICT機器「ココヘルパ」もご紹介しますので、
ぜひ最後までご覧ください。

前回の記事>>>介護現場における身体拘束 – その原因とは?

 

目次


■身体拘束による入居者への影響
-身体的な弊害の発生
-精神的な弊害の発生
■身体拘束による介護事業者への影響
■介護現場における身体拘束の防止方法
-介護環境の整備をする
-要因を探り改善させる
-身体拘束ゼロに向けた研修を実施する
-コミュニケーションを充実させる
■ココヘルパならプライバシーに配慮した見守りが可能
■まとめ

 

 

■身体拘束による入居者への影響

身体拘束は、入居者の安全を守るために行ったとしても、さまざまな悪影響を及ぼす危険があります。

身体的な弊害の発生

身体拘束は、入居者の身体に影響を与えてしまうものです。身体拘束によって長時間身体を動かさなければ筋力は低下し、関節も動かしにくくなるため運動機能は衰えるでしょう。運動機能の低下は、転倒するリスクを高めてしまううえに、内臓の働きにも影響したり抵抗力を弱めたりとさまざまな弊害が生じます。
さらに身体拘束によって同じ姿勢が続けば、床ずれを起こすなど、皮膚に悪影響を及ぼすこともあります。

精神的な弊害の発生

身体拘束は、入居者の尊厳を傷つけ、精神的な苦痛を与える行為です。怒りや悲しみ、屈辱、あきらめなどのマイナスな感情を抱かせることになり、認知症の進行やせん妄(一過性の意識障害)につながる恐れがあります。
また身体拘束のことを知ったご家族は、施設に預けたことを後悔したり罪悪感にかられたりすることでしょう。実際に身体拘束を行ったスタッフ自身も罪悪感を抱き、仕事への誇りが持てず、精神的な苦痛につながります。

■身体拘束による介護事業者への影響

「身体拘束をしてもやむを得ない」ような環境を放置していると、介護事業者にも大きな影響を与えることになります。
環境を改善しようとしない職場は、施設内の雰囲気も悪化しやすく、スタッフ同士で悩みを相談できなかったりハラスメントがあったりすることが考えられます。このような環境では、身体拘束に対しても抵抗がうすれてしまい、常態化する恐れがあります。現場全体の士気を下げることやスタッフの離職率を高めることにもつながり、品質のよい介護サービスは提供できないでしょう。
その結果、施設に対する悪いイメージがついてしまい、社会的な信頼を失ってしまう恐れもあるのです。

■介護現場における身体拘束の防止方法

それでは実際に、介護現場で身体拘束を防ぐためにどのような方法があるか紹介します。

介護環境の整備をする

身体拘束をしなくてもいいように、介護環境の整備を行っていくことが大切です。事故を未然に防ぐ対策はもちろん、万が一事故が起こっても最小限の被害に抑えられるように、環境を整備することが効果的です。
たとえば事故につながるような動作にいち早く気づけるように離床センサーを導入する、転倒してもケガをしないように柔らかい床材を使うなどの対策がその一例です。

要因を探り改善させる

身体拘束が必要となる背景には、さまざまな要因が存在します。要因を探って根本から改善しなければ、身体拘束を繰り返してしまうという事態になりかねません。
たとえば一人歩行が困難な方が車椅子から降りようとすれば、スタッフは危険だと判断するでしょう。しかし入居者にとっては、「長時間座り続けることで腰が痛い」などの不快感があるのかもしれません。なぜ車椅子から降りようとするのか要因を探らなければ、入居者の不快感は解消されず、危険な行為を繰り返してしまうでしょう。
身体拘束を誘発する行為には、その人それぞれに何らかの事情があり、スタッフの関わり方や環境が問題となっているケースも少なくありません。入居者一人ひとりの身体的・精神的な状況は異なるため、しっかりと状況を把握して要因を改善していくことが大切です。

身体拘束ゼロに向けた研修を実施する

介護スタッフの認識を統一するため、研修を実施することが身体拘束の防止につながります。スタッフの認識が低ければ、「やむを得ない」と安易に考えてしまい、身体拘束を行う可能性を高めてしまいます。
身体拘束は、法律にも触れる可能性があることや、入居者や家族、介護施設にも弊害が生じることを十分に理解できていれば、安易な身体拘束をなくせるでしょう。身体拘束ゼロに向けて、他の方法を検討したり改善策を講じたりと、施設全体で取り組めるようになるはずです。

コミュニケーションを充実させる

日頃から入居者とコミュニケーションを図っておくことも、身体拘束を防ぐ効果があります。

話に耳を傾けてコミュニケーションがとれていれば、入居者の精神的な安定につながります。また入居者が抱えている不満やストレスを把握し、身体拘束につながるような行動を未然に防いだり改善したりすることも可能になるでしょう。

■ココヘルパならプライバシーに配慮した見守りが可能

介護現場での身体拘束を防止するには、上記の防止策に取り組むだけでなく、身体拘束を誘発する原因でもある、人手不足の問題も解決していかなければなりません。
人手不足を解消するには、ICT機器の導入が不可欠です。とくに映像やセンサーなどを活用して入居者の見守りを強化することで、リスクにつながりやすい行動をいち早く察知できたり、先回りのケアにつなげたりできるようになります。

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これらを実現できるICT機器が、無線ナースコールシステム「ココへルパ」です。全7モデルの豊富なラインナップで、施設の要望に合わせたカスタマイズが可能です。映像機能付きモデルでは、離床などの動作時に映像・音声情報をスタッフへ通知することで即時対応ができます。また多彩なセンサーから離床や睡眠、呼吸などの情報を可視化できる最新モデルでは、体調の変化や日常の傾向を把握し、細やかなケアが行えるようになります。結果的に、身体拘束しなければならないといったことも低減できるでしょう。
ただし上述したとおり、居室にカメラを設置することは「常に撮影する=入居者の監視」につながり、身体拘束だと判断する介護施設もあります。
しかしココヘルパであれば、入居者のプライバシーにも配慮できる機能を備えているため安心です。モザイクや白黒映像の加工ができたり居室によって映像を禁止したりと、設定をカスタマイズできます。プライバシーが気になる方や同意いただけない場合にも、個別で対応ができるため、プライバシーに配慮しつつ見守りが可能です。

■まとめ

介護現場において入居者の行動を制限する「身体拘束」は禁止されています。不要な身体拘束を防止するためにも、環境の整備や、要因の改善などに取り組んでいかなければなりません。

そしてICT機器を導入して人手不足を解消していくことも、身体拘束を防止する有効な方法です。そのICT機器の一つである「ココヘルパ」であれば、プライバシーに配慮しつつ見守りを強化できるためおすすめです。

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