介護業界では人材を採用することが難しい状況にあり、人手不足が深刻な状態となっています。
なぜ採用できないかの原因を探って対策を講じていかなければ、今以上に悪化してしまうでしょう。
この記事では、介護スタッフの採用が難しい原因について知り、課題を解決して採用につなげていくポイントについて紹介します。
■介護スタッフの採用が難しい原因
-介護が必要な人が年々増加しているため
-身体的な負担が大きいため
-精神的な負担が大きいため
-賃金が低いため
-業務量が多岐に渡るため
■介護スタッフの採用を成功させるポイント
-働きやすい環境作りをおこなう
-労働環境や待遇の改善をする
-求職者に魅力的な求人情報を提供する
-求職者の条件に柔軟に対応する
■介護スタッフが働きやすい環境の作り方
-ITツールや最新機器を導入する
-研修・資格取得支援制度を導入する
-介護スタッフの相談窓口を設ける
-福利厚生を充実化させる
■介護スタッフの採用の現状
多くの業界で問題となっている少子高齢化に伴う人手不足は、介護業界においてはとくに深刻化しています。
「求職者一人に対して何件の求人があるか」を示す、有効求人倍率を見てみましょう。厚生労働省の調査によると、2021年度の介護職の有効求人倍率は「3.65倍」であり、一人の求職者に対して、3社以上の求人があることがわかります。また全職種でみる有効求人倍率は「1.03倍」であり、その差は約3倍以上の開きがあります。
【有効求人倍率(2021年度)】
職種 | 有効求人倍率 |
介護関係職種 | 3.65 |
全職種 | 1.03 |
つまり介護業界は、他の職種よりも採用がかなり困難な状況であり、求職者の取り合いが起こっている状況なのです。
参考:厚生労働省「有効求人倍率(介護関係職種)の推移」
■介護スタッフの採用が難しい原因
介護業界はなぜ、他の職種に比べて採用が難しいのでしょうか。介護スタッフの人材不足につながっている原因について紹介します。
介護が必要な人が年々増加しているため
高齢者の増加が、介護スタッフの人材不足に大きく影響しています。
少子高齢化に伴って労働人口が減少する一方で、高齢者の割合は増加しています。今後も介護のニーズは高まっていくため、ますます採用が難しくなると予測されています。
厚生労働省の調査によると、2026年度の介護職員の必要数は約240万人であることに対し、約25万人もの介護職員が不足するといわれています。さらに2040年度には、約57万人もの介護職員が不足すると予測が立てられているため、現状のまま何も対策しなければスタッフの採用はますます困難となります。
年度 | 介護職員の必要数 | 不足数(2022年度比) |
2026年度 | 約240万人 | +約25万人 |
2040年度 | 約272万人 | +約57万人 |
参考:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」
身体的な負担が大きいため
身体的な負担が大きいという理由によって、求職者の低減につながっています。介護業務は入浴や排泄、着替えの介助や、リハビリのサポートなどを行うため、高齢者の体を抱えたり支えたりと、体力的に負担の大きい業務が多いといえます。またどの介護現場でも人手不足の状況であることから、スタッフ一人にかかる業務負担も増えているため、より身体的な負担は大きくなっています。
精神的な負担が大きいため
介護業務は、精神的な負担も伴います。入居者の安全を守らなければならない責任があり、精神的負担の大きい仕事です。また入居者のなかには、思うように体を動かせないなどのつらさから、介護スタッフに対して心無い言葉を発したり介護を拒否したりする方もいるため、精神的な負担が増すこともあります。
しかしつらいことがあったり不安を抱えたりしても、業務の忙しさから周囲になかなか相談できずに、精神的に追い詰められるという方も少なくありません。
賃金が低いため
介護業務は身体的・精神的に負担が大きい仕事であるにも関わらず、他の業種と比べると賃金が低いという実態があります。
厚生労働省によると、介護職員の2022年度時点の平均給与(手当・賞与含む)は約32万円(※1)であり、年収に換算すると約380万円です。2021年分の民間給与実態統計調査においては、全体の平均年収が約440万円(※2)であることから、介護スタッフの賃金水準は低いことがわかります。
重労働かつ責任のある仕事であることに加え、賃金が低ければ介護職の求職者数はますます減っていくでしょう。
(※1)参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
(※2)参考:国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査」
業務量が多岐に渡るため
介護スタッフの採用が難しい原因として、業務量が多岐に渡る点も関係しています。介護業務は介護サービスを提供するほか、介護記録や介護計画書などのさまざまな帳票を作成しなければならず、事務作業が多数発生します。
しかし業務時間内は入居者の対応に追われているため事務作業などが行えず、残業という形で事務処理するケースも少なくありません。
■介護スタッフの採用を成功させるポイント
介護スタッフの採用を成功させるためには、上記で紹介したような問題を解決していかなければなりません。
働きやすい環境作りをおこなう
介護スタッフの採用を成功させるためには、スタッフが働きやすいと思えるような環境を作っていくことがポイントです。スタッフの負担につながっている身体的・精神的につらいと感じる要素を取り除くために有効なのが、IT機器の導入です。
IT機器の例として、最新のナースコールを導入した場合を見てみましょう。たとえば映像機能がついているナースコールなら、呼び出し時にスマートフォンから居室の様子を確認できるため、無駄な訪室を減らし業務の効率化につながります。複数の居室から呼び出し上がった場合も、優先順位をつけて介護にあたれるため、居室間の無駄な往復を削減し、身体的な負担も減らせるでしょう。
このようにIT機器導入などの対策を行っていき、働きやすい環境を構築できれば、スタッフの採用につながるはずです。
なお、働きやすい環境を作る方法は、IT機器の導入以外にもいくつかあるため、後ほど詳しく紹介します。
労働環境や待遇の改善をする
人手不足の影響から、時間外労働や夜勤、休日出勤などの長時間労働が多く、有給を取得しづらいなどの問題もあります。このような労働環境を改善するためには、やはり業務効率化を図っていくことが必要不可欠です。
また給料や諸手当などの、待遇の改善を図ることも必要です。スタッフにとって満足できる賃金水準であるかどうか見直し、夜間勤務や資格取得などの手当を充実させることも大切です。
求職者に魅力的な求人情報を提供する
介護スタッフの採用を成功させるためには、求職者にとって魅力的な求人情報を提供することが大切です。ハローワークや人材紹介会社に任せっきりにしていたり、コーポレートサイトの採用ページが充実していなかったりすると、求職者を集めることは難しいでしょう。
多くの募集案件の中から選んでもらうためには、豊富な情報を掲載することが大切です。シフトや休暇、待遇面はもちろん、仕事内容や施設環境がしっかりと伝わるような情報を提供します。また未経験でもサポート体制がある、柔軟にシフト調整できるなどの条件はアピールにつながるため、積極的に掲載するとよいでしょう。
求職者の条件に柔軟に対応する
介護スタッフの必要数を確保するためには、求職者の条件に柔軟に対応していくことも大切です。求職者のライフスタイルに合わせて、時短勤務やフレックス勤務に対応するなど、多様な働き方に対応していかなければなりません。またその後のライフステージの変化にも柔軟に対応できるように、育児休暇や介護休暇を取得しやすい仕組みを作るのが理想的です。
■介護スタッフが働きやすい環境の作り方
介護スタッフが働きやすい環境作りについて、4つのポイントを紹介します。
ITツールや最新機器を導入する
介護スタッフの働きやすい環境をつくるには、ITツールや最新の機器は欠かせない対策となっています。
すでに紹介したように、ナースコール一つにしても最新機器の導入によって、介護業務は大幅に改善されます。業務の効率化が実現すればスタッフの負担軽減につながるうえに、余剰の時間を使って、介護サービスに当てたり教育の時間を割いたりといった活用もできるでしょう。
研修・資格取得支援制度を導入する
介護現場で有効な研修を行ったり、資格取得支援制度を導入したりすることも、働きやすい環境につながります。
介護福祉士をはじめとする有資格者の人材採用は、非常に難しいものとなっています。未経験の方でも応募しやすくするためには、スタッフが働きながら介護について学べる環境でなくてはなりません。また、資格を取得してスキルアップを目指せる職場なら、スタッフの離職を防いで長く働いてもらえるようになるでしょう。
介護スタッフの相談窓口を設ける
介護スタッフが悩みを抱えたりハラスメントを受けたりした場合のために、相談窓口を設けておくことも有効な方法です。介護現場は人と人とのコミュニケーションが求められる仕事であるため、人間関係の悩みを抱えやすく離職してしまう方は少なくありません。
入居者やスタッフ間とのコミュニケーションでストレスや悩みを抱えても、業務が忙しいことから簡単に相談できる環境にないということも問題です。
気軽に相談できる窓口があれば、悩みの軽減や解決につながるうえに、介護施設全体でさまざまな意見を集約、検証して、労働環境の改善につなげることも期待できます。
福利厚生を充実化させる
介護スタッフに働きやすいと感じてもらうためには、福祉厚生を充実させることも必要です。介護業界は売り手市場であり、数ある施設の中から選んでもらうためにも、魅力的な職場でなければなりません。
たとえば子育て世帯でも働きやすいように、保育所を併設したり子育て手当を支給したりといった例も有効です。他の施設にはないような福利厚生を設けることで、求職者から選ばれるようになり、介護スタッフ採用の成功につながるでしょう。
■まとめ
介護スタッフを採用し人材不足の問題を解消するために、介護スタッフが働きやすい環境作りを行っていくことが大切です。働きやすい環境作りとして有効な方法の一つが、IT機器の導入です。今回紹介したようにナースコールを入れ替えるだけで、スタッフの働き方は大きく改善できるでしょう。
介護施設専用のナースコールシステム「ココへルパ」は、介護業務をサポートするのに効果的なツールです。映像機能はもちろん、多彩なセンサーにより入居者の状態変化を通知できるものや、リモートで夜間巡回できるものなど複数のモデルがあるため、施設の悩みに応じて必要な機能をお選びいただけます。
「介護業務を改善し、魅力ある職場にしたい」と考える方、最新のナースコールの導入を検討してみてはいかがでしょうか?ぜひ一度ジーコムまでご相談ください。