質のよい介護サービスを提供するためには、スタッフ間のチームワークの良さが必要不可欠です。チームワークが悪い職場は、離職率を高めたり緊急時の対応が遅れたりと、さまざまな悪影響を与えてしまいます。この記事では、介護現場のチームワークの必要性について解説します。
目次
介護現場でチームワークが必要な理由とは?
チームケアを円滑に進めるため
介護サービスのクオリティを統一させるため
質の高い介護サービスの提供につなげるため
介護現場のチームワークが悪い場合の影響
離職率が上がる
介護サービスの質が低下する
業務効率が悪くなる
緊急時の対応が遅くなる
施設の信頼性が低下する
■介護現場でチームワークが必要な理由とは?
介護現場ではなぜチームワークが必要とされるのか、その理由について説明します。
チームケアを円滑に進めるため
チームケアを円滑にしていくため、チームワークの良さは欠かせません。介護の仕事は、複数の介護スタッフをはじめ、介護福祉士や社会福祉士、医師、看護師などのさまざまな職種と連携を図って、入居者の介護にあたる「チームケア」が必要だからです。
それぞれの職種と意思疎通がとれていなければ、現場が混乱することになり、介護サービスの品質が低下する恐れがあります。品質のよい介護サービスを提供するためにもチームケアを円滑にし、それぞれの職種の考えや行動を、統一させておくことが大切です。
介護サービスのクオリティを統一させるため
介護サービスのクオリティを統一させるためにも、チームワークが必要です。
介護施設では、どのスタッフにあたっても、入居者が安心してサービスを受けられるようにしておかなければなりません。もしもスタッフごとに作業手順や内容が異なると、入居者によっては「あの人じゃないと嫌だ・・・」と、介護を拒否したり不安に感じたりする可能性があります。
サービス品質を統一させるためにもチームワークを築いて、スタッフ間で常に情報やスキルを共有できるようにしておくことが大切です。
質の高い介護サービスの提供につなげるため
チームワークの良さは、介護サービスのクオリティを統一できるだけでなく、質の高い介護サービスにもつながります。
介護スタッフは入浴や排泄の介助に、レクリエーション、ご家族との対話など、さまざまな業務をマルチにこなしていかなければなりません。スタッフの対応品質が統一されていたとしても、介護スタッフそれぞれに得意・不得意な分野があり、「介助は得意だけどレクリエーションが苦手」な場合や、その反対の場合もあるでしょう。また入居者や家族と密接に関わるため、相性が合わないことや受け入れてもらえないこともあります。
このような状況であってもチームワークが良ければ、スタッフ同士でお互いにフォローし、教え合ったり対応を変えたりできるため、質の高い介護サービスの提供につながるはずです。
■介護現場のチームワークが悪い場合の影響
もしも介護現場のチームワークが悪いと、以下のようなリスクにつながってしまいます。
それぞれ詳しく紹介します。
離職率が上がる
スタッフ同士のチームワークが良くなければ、離職率を上げることにつながります。
コミュニケーションが図れていないと、疑問や悩み、嬉しい出来事などを共有できなくなったり、ありがとう・お疲れ様などの声掛けが少なくなったりします。このような環境はモチベーションを低下させ、孤独を感じるようになったり仕事にやりがいを感じなかったり、ストレスを抱えたりするでしょう。
結果的に、新人スタッフの定着や長期で働き続けることが難しくなり、離職率を高める原因となります。
介護サービスの質が低下する
チームワークが悪いと、介護サービスの質は低下するでしょう。上述したように挨拶などの声掛けや嬉しい出来事の共有、不安や悩みを打ち明けるといったコミュニケーションが図れていなければ、モチベーションは低下します。
モチベーションが低いまま業務を続けていては、介護サービスの質は上がらず、むしろ下がる恐れがあります。またモチベーションが低いスタッフがいると、周囲のスタッフにも悪影響を与えてしまい、やる気があったスタッフの意欲まで低下させるかもしれません。
業務効率が悪くなる
介護現場でのチームワークの良し悪しは、業務効率にも直結します。チームワークが悪いと、十分に情報共有しようとしない、積極的に他の人をフォローしようとしなくなってしまいます。
入居者の状態や要望、ケアプランに関する情報がスタッフ間で共有されていないと、認識にずれが生じ、結果的にスムーズな業務が行えません。たとえば同じケアを二重で行う、入居者の状態変化に気づくのが遅れるなどのように、業務の重複や対応の遅れなどが生じます。
介護スタッフはシフト制であるため後のスタッフへの情報共有が不可欠であり、また広い施設内を移動しなければならないため、コミュニケーションがとれていないと無駄が多くなってしまいます。
緊急時の対応が遅くなる
チームワークが悪いと、緊急時の対応に遅れが生じる危険もあります。
コミュニケーションが図れず周囲に声をかけづらい環境だと、疑問があっても相談や報告を躊躇してしまいます。とくに新人スタッフだと、その心理がより働くでしょう。
このような環境では、入居者の状態変化などに気づいてもすぐに相談できずに、対応が遅れてしまいます。対応が遅れることで入居者の不安や不満につながるだけでなく、命の危険につながる問題を起こしてしまう恐れもあります。
そのためすぐに共有できる、フォローしあえるようなチームワークを築くことが大切です。
施設の信頼性が低下する
チームワークが悪いことで、上述したようにさまざまな悪影響を及ぼします。離職率が上がりスタッフが定着しないことや、介護サービスの品質低下、業務効率の悪化、緊急時の対応の遅れは、結果的に施設自体の信頼性を低下させてしまうでしょう。
入居者やその家族、地域社会からの信頼を失ってしまうと、入居率にも影響し、事業継続に支障をきたす恐れもあります。
このように、介護の現場にとってチームワークは欠かせないものです。ではより良くしていくためには、どんなことに気を付けるべきなのでしょうか?
次週そのポイントを解説します!